発見されにくい膵臓がん

膵臓がんは、最も死亡率の高いがんの一つで、初期には無症状であることが多く、早期発見が難しく、進行した例では治療にもかかわらず予後は極めて不良です。今日は膵臓がんについてお話します。
膵臓がんはがんの中でも急激に進行し、年齢は50代、60代、70代、80代と年代ごとに増加率が高くなっていますが若い人もおられます。膵臓がんは5番目に多いがんで、治りにくく生存率が低いです。
なぜ、発見が遅れるかというと膵臓はお腹の中でも後ろの方にあるため、はっきりした症状や簡単な検査法がありません。
腹痛や背部痛あるいは心窩部不快感や体重減少などの症状がありながらも、しばしば胃腸の症状として気付かず見逃され、ようやく膵臓疾患の疑いが持たれ、診断に漕ぎ着けた時には周囲の主要血管や神経に浸潤したり広範囲リンパ節転移や肝転移を起こしていることが多く、手遅れということも多くあります。
膵臓がんの症状は、腹痛が40・3%、黄疸が15%、背部痛が8・2%、そのほか食欲不振、体重減少、全身倦怠感などが認められます。
また、膵臓がんのできる場所で症状が異なり、膵頭部がんでは、多くは黄疸が出てきます。腹痛や背部痛を訴える患者さんも多くいます。
膵体尾部がんでは、左上腹部痛や左背部痛を訴えることが多いようです。進行すると背中の痛みや黄疸などの症状が出てきます。
何となく胃が重いとか胃痛や背中が痛いなどの症状があり、胃の検査で胃がんや潰瘍などがない時には膵臓がんの検査が必要です。
検査法には、・超音波エコー検査、・ヘリカルCT検査、・MRI(磁気共鳴装置)、MRCP(MRIを応用した膵管ならびに胆道造影)、・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、・血液検査(血清アミラーゼが上昇している時は膵炎を疑うだけでなく、膵臓がんが隠れていたり、血清CA19―1やCEAなど腫瘍マーカーの上昇では膵臓がんをまず疑って検査します)が代表的ですが、まず膵臓がんではないか?と疑うことが大事です。
治療ですが、膵臓はお腹の後ろの後腹膜の臓器なので、周囲に門脈系、動脈系などの主要血管、神経叢があり、早期に浸潤性の転位 をするため、治癒切除が不可能なことの多いがんですが、拡大切除で治癒切除が可能であれば20%程度の5年生存率が望めます。
手術適応がない場合には、生活の質を考慮した術式が行われたり、重粒子線治療でがんを閉じ込めてから切除する方法も期待されています。
今後さらに膵臓がんの早期発見がなされ、積極的手術や新しい治療法との組み合わせで良い予後を生み出すだろうと推測されます。小さな内に発見すれば、手術による完治も可能ですから、早期発見が重要です。
お腹の調子が悪く胃の検査や治療をしても症状が改善しない場合は膵臓の病気かも知れませんので、消化器の専門の医療機関を受診してください。