潰瘍性大腸炎の話

3月は外来に、潰瘍性大腸炎の患者が立て続けに来られましたので潰瘍性大腸炎についてお話します。
皆さんは、潰瘍性大腸炎という病名はあまり聞き慣れていないと思います。どんな病気かというと原因不明の大腸粘膜におけるびらん性非特異性炎症で、びらんや潰瘍を形成する病気です。
原因はさまざまな研究がなされていますが不明です。自分の体の一部であるはずの大腸粘膜を自分で敵と判断して攻撃し、脱落させてしまうので自己免疫の異常といわれ、潰瘍や出血などが起こります。このほかに腸内にいる細菌が関係しているとか、HLAという血液の中の成分が関係している、また乳製品などの動物性脂肪が関係しているなどといわれていますが、まだ原因が確認されていません。最近では遺伝子からの研究もされています。
日本では平成11年7月には5万4000人になったと言われており、白人に多く日本人には少ない疾病ですが、増加してきています。好発年齢は20歳代に高いピークがあり、若い人に多い病気といわれています。症状は下痢、粘血便(粘液に血液が混じった軟便)が続き、腹痛、しぶり腹(便が出そうで出ない)、微熱などの症状がみられます。
診断は症状と血液検査、大腸内視鏡検査やバリウム注腸検査で組織学的検査にて診断しますが、便培養検査などでほかの腸疾患を否定して、はじめて診断がつきます。
潰瘍性大腸炎の分類は、症状による分類や病気の起こり方による分類、病変の広がりによる分類、重症度による分類があり、手術の時に必要になります。
治療は内科的治療と外科的治療に分けられます。内科的にはこの病気は本来良性の病気ですが、原因を完全に治す確実に効く薬がまだ発見されていません。
このため、内科的治療の目的は、炎症を抑え、症状の消失と大腸機能の回復を図ることです。ステロイドホルモン(プレドニン、ソルコーテフ、デキサメサゾンなど)、サルファ剤(サラゾピリン、ペンタサなど)の薬がよく用いられます。
食事療法は乳製品を避けることが推奨されますが、重症になると絶食で高カロリー輸液の点滴が行われます。さらに免疫抑制剤(イムランなど)の投与や平成12年4月1日より保険適応となった白血球除去療法などがあります。
最新の治療は再燃あるいは増悪を防ぐことで、抗サイトカイン療法、蛋白分解酵素阻害薬、活性酸素抑制薬など新しい治療法が研究され、試みられています。
外科的には手術で炎症反応を引き起こしてくる大腸粘膜の病変部の大腸を取り除いてしまえば根治できます。
この病気は本来良性の病気であり、手術すれば治るからといって、なんでもかんでも切ればいいというものではありません。しかし良性であっても手遅れになると生命がなくなったり、障害が残ったりします。ですから、手術の時期を逸してしまわないよう、よく注意することが大切です。
先ほどの症状などがあるようでしたらご相談ください。